大きな乖離日を掘り下げたら、意外な共通点が見えた話
先日、理論値と実際の約定結果のズレを検証した記事を書きました。結論は、ズレの正体はスリッページや手数料ではなく、始値・終値という理論値の基準点と、実際の約定タイミングとの間で生じる、方向の定まらない価格のブレだった、というものでした。上回る日と下回る日がほぼ五分五分だったので、そう結論づけました。
ただ、書き終えたあとも一つ気になっていたことがあります。乖離が特に大きかった日は、日経平均-NYダウ手法とTOPIX-S&P500手法で、何か共通点があるのではないか。今日はそこを掘り下げてみます。
乖離の大きい日を並べてみたら
前回と同じ62日分のデータで、日経平均-NYダウ手法とTOPIX-S&P500手法、それぞれの乖離額(実際-理論値)を1日ずつ比べてみました。
すると、乖離が大きかった日の多くが、同じ日付で重なっていることに気づきました。しかも、ただ重なっているだけでなく、ズレの向き(実際が理論値を上回ったか下回ったか)まで揃っている日がほとんどでした。
具体的な数字で見ると、62日のうち38日(6割強)は、日経平均-NYダウ手法とTOPIX-S&P500手法の乖離の向きが同じでした。特に乖離が大きかった日を12日ほど拾うと、そのすべてが同じ向きで動いていました。たとえばある日は、日経平均-NYダウ手法が理論値を6,692円下回り、TOPIX-S&P500手法も2,887円下回る。別の日は、日経平均-NYダウ手法が6,171円上回り、TOPIX-S&P500手法も2,842円上回る、という具合です。
なぜ二つの手法で揃うのか
前回の記事で、乖離の原因は「始値・終値という基準点と、実際の約定タイミングとの間の数分のズレ」だと考えました。この数分のズレの間に価格が動けば乖離が生まれる、という理屈です。
もしこの数分のブレが、銘柄ごとにバラバラに起きているだけなら、日経平均-NYダウ手法とTOPIX-S&P500手法の乖離は、それぞれ独立してバラバラの日に起きるはずです。ところが実際には、同じ日に、同じ向きで乖離が起きている日がかなりの数ある。
理由は、そもそもNYダウとS&P500が、同じアメリカ市場を映す指数同士だからだと思います。この2つの手法は、判定に使う日本側の指数(日経平均・TOPIX)こそ違いますが、実際に売買しているアメリカ側の銘柄(米国30・米国S500)は、値動きの方向がかなり近い。だとすれば、始値や終値の基準タイミングと実際の約定タイミングの間で、アメリカ市場全体が大きく動く日があれば、その影響は米国30にもS&P500にも同時に及ぶはずです。つまり、乖離の正体は銘柄ごとの癖ではなく、アメリカ市場全体が特に動いたタイミングの問題である可能性が高いということです。
ただし、完全に一致するわけではない
とはいえ、62日のうち24日は、二つの手法で乖離の向きが逆でした。相関係数で見ても、完全に連動しているとまでは言えない強さです。日経平均とTOPIXは判定材料が別ですし、NYダウとS&P500も値動きが多少ズレる場面はあります。「アメリカ市場全体が動いた日は乖離しやすい」という傾向はありつつも、それぞれの銘柄固有の細かい値動きも、当然乗ってきます。
次に確かめたいこと
ここまで来ると、次に見たくなるのは「その日、実際にアメリカ市場がどれだけ大きく動いていたか」です。折しも私は米国VIを売り続けていて、VIX(恐怖指数)の日々の動きは普段からある程度気にしています。乖離が大きかった日と、VIXが跳ねていた日が重なるかどうか。これが確認できれば、「基準タイミングのズレ×その日の値動きの大きさ」という、もう一段具体的な説明にたどり着けそうです。
おわりに
理論値と実際のズレは、思っていたよりも「その日のアメリカ市場全体の動き」に左右されている可能性が見えてきました。銘柄固有の癖というより、市場が大きく動くタイミングと、手法の基準点がたまたま重なるかどうかの問題だとすれば、これは特定の証券会社を選び直しても解決するようなものではなさそうです。次は、VIXの動きと突き合わせて、もう少し掘り下げてみようと思います。

