前回、米国VIを売り続けている話を書きました。米国VIは、VIX指数の先物を参照するCFDです。そう、これも中身は「先物」なんですよね。

考えてみれば、米国VIだけの話ではありません。日経平均-NYダウ手法で使っている米国30も、TOPIX-S&P500手法で使っている米国S500も、原資産は株価指数の先物です。つまり私は、このブログで紹介してきた手法のほとんどで、すでに先物を道具として使ってきたことになります。

「先物」という言葉を出すと、身構える人が多い。怖い、危ない、手を出すものじゃない。そんなイメージを持っている人は、今でも少なくないと思います。今日は、そのイメージの正体について考えてみます。

悪いイメージの正体は、二つあると思う

一つは、商品先物取引をめぐる、強引な勧誘と被害の歴史です。かつて、右も左も分からない人に電話で強引に勧誘し、次々と取引を重ねさせて手数料を稼ぐ、という商品先物業者のやり方が社会問題になった時期がありました。高齢者が老後の資金を失うようなケースも報じられ、法規制も強化されてきた経緯があります。この記憶は、今でも「先物」という言葉に影を落としていると思います。

もう一つは、高レバレッジで一気に溶かす人の話が目立つことです。先物は少ない証拠金で大きな取引ができる仕組みなので、身の丈に合わないポジションを持ってしまえば、あっという間に資金を失います。そして、そういう派手な失敗談ほど、人の記憶に残りやすく、語られやすい。地味にコツコツ続けている人の話より、一晩で全部溶かした話の方が、圧倒的に広まりやすいわけです。

実感として、怖いのは「仕組み」ではなく「使い方」

私自身、TOPIX-S&P500手法を始めた当初は、CFDという選択肢がまだなく、海外先物口座を使ってトレードしていました。そして今も、米国VIというVIX先物ベースのCFDを何年も売り続けています。

これだけ長く先物という仕組みと付き合ってきて思うのは、怖いのは仕組みそのものではなく、使い方だということです。包丁は、美味しい料理を作る道具にもなれば、人を傷つける道具にもなります。自動車は、行きたい場所に連れて行ってくれる道具ですが、操作を誤れば事故を起こします。先物も同じで、道具そのものに善悪があるわけではなく、それをどう扱うかが全てなのだと思います。米国VIの売りにしても、想定される急騰幅に耐えられるだけの資金をあらかじめ用意した上で、枚数を決めて持っています。逆に言えば、身の丈に合わない枚数を持ってしまえば、この取引だって一発で終わります。

勧誘の被害についても、問題の本質は「先物という商品」ではなく、「仕組みを理解させないまま取引させる売り方」にあったはずです。同じ商品でも、自分で理解し、自分の判断で、身の丈に合った規模で使う分には、地味に付き合っていける道具になります。

おわりに

「先物」という言葉だけで身構えてしまうのは、ある意味自然な反応だと思います。それだけの歴史があり、それだけ派手な失敗談が語られてきたからです。ただ、実際に何年も付き合ってみると、怖いのは商品そのものではなく、資金管理と身の丈を無視した使い方の方だという実感があります。包丁も車も先物も、結局は使う人次第。米国VIを売り続けながら、そんなことを考えています。