決めたばかりの設計が、MT4で揺らいだ話
前回、自動売買の再構築について、検討項目をひとつずつ決めていった話を書きました。UWSCとExcel、GMOクリック証券を組み合わせる形で、監視の仕組みも投資判断基準もコストも、一通り固まった。そのつもりでいました。
ところが記事を公開した翌日、ふと「MT4はどうなんだろう」と気になってしまいました。今日はその顛末です。
実は、MT4は一度挫折している
正直に書いておくと、MT4を検討するのは今回が初めてではありません。以前、XMTrading(XM)でMT4を使い、EAを動かそうとしたことがあります。ただ、うまく動かせずに挫折し、それ以来「MT4はもう考えない」と、自分の中で棚上げにしていました。
前回の記事を書き終えたあと、その棚上げにしていた選択肢が急に気になり始めました。当時は自分のスキル不足で挫折しただけかもしれない、そもそも証券会社が違えば条件も違う。そう思い直して、あらためて調べてみることにしました。
調べてみたら、条件は思ったより揃っていた
今使っている楽天証券に「楽天MT4CFD」というサービスがあり、日経225・NYダウ・TOPIX・S&P500の4銘柄すべてに対応していました。取引手数料も無料で、EAによる自動売買にも正式対応しています。日経平均-NYダウ手法とTOPIX-S&P500手法、どちらに必要な銘柄も、この1つの口座で完結する形です。
これが実現すると、前回の設計の弱点がまとめて解消できる可能性があります。UWSCによる画面操作が要らなくなります。EAがプログラムとして直接注文を出すので、ウィンドウの位置がずれて誤クリックする、といった類の失敗がそもそも起こりません。Excelも要らなくなります。日経平均・TOPIXの陽線/陰線判定に使っていたマーケットスピードIIのRSSは、MT4の画面の中に同じデータがあれば別途取ってくる必要がなくなるからです。前回、Excelのライセンス代として41,380円を見込んでいましたが、これもまるごと不要になるかもしれません。
正直、話がうますぎる気がして、そこから比較を始めました。
コストを比べたら、スプレッドは案の定広かった
スプレッド(変動制、調査時点の目安)を並べてみると、こうなりました。
| 銘柄 | GMOクリック証券 | 楽天MT4CFD |
|---|---|---|
| 日経225 | 6.9 | 7.8 |
| NYダウ(米国30) | 3.8 | 5.4 |
| S&P500(米国500) | 0.5 | 0.7 |
すべての銘柄で、楽天MT4CFDの方がスプレッドが広くなっています。これは以前XMTradingを使っていたときの感覚とも一致していて、正直「やっぱりか」という気持ちです。取引手数料はどちらも無料なので差はありませんが、この手法は2023年以降、年間の理論値がかなり薄くなっています。スプレッドが数ポイント広がるだけでも、この薄い利益を圧迫しかねません。
「これは先物のデータでは?」という疑問
比較を進める中で、自分でも見落としていた点に気づきました。楽天MT4CFDの日経225・TOPIXは、本当に現物指数を参照しているのか。もし先物ベースだったら、マーケットスピードIIの現物指数で設計してきた「陽線/陰線」の判定と、微妙にズレる可能性があります。
調べてみると、楽天証券の公式ガイドブックに「原資産」の記載があり、日本225の原資産は「日経平均株価指数」、米国500の原資産は「米国S&P500種指数」と、いずれも現物指数そのものが明記されていました。先物ではなく指数を参照する建付けだということは分かりましたが、これはあくまで商品の建付け上の話です。実際の始値・終値のタイミングで、現物指数とどこまで一致するかは、この資料だけでは確認できませんでした。
バックテストの前提についても、思い違いをしていた
もう一つ、自分で比較していて誤解に気づいた点があります。19年分の理論値バックテストは、GMOクリック証券のCFDレートではなく、日経平均株価指数やTOPIX指数そのものの値を使って計算したものでした。実際の約定にGMOクリック証券のレートを使っているだけで、理論値そのものはどのブローカーを使っても前提が崩れるわけではありません。
つまり本当に問われるのは、「乗り換えたらバックテストが無効になるか」ではなく、「そのブローカーのCFD価格が、指数の値動きにどれだけ忠実か」ということです。GMOクリック証券は何年も実際にトレードしてきた実績があるので、この点は暗黙に確認済みと言えますが、楽天MT4CFDはまだ未検証です。
VPSより、PCを24時間動かした方が安いかもしれない
EAを24時間稼働させ続けるには、VPS(仮想専用サーバー)を契約するのが一般的です。楽天証券にも専用のVPSサービスのページがあるようなのですが、料金や無料になる条件を確認できませんでした。参考までに、一般的なWindows対応VPSは月額1,485円あたりからのようです。
ただ、ここで思い直しました。VPSを使わず、自宅のPCを24時間つけっぱなしにする、という手もあります。電気代の目安単価(1kWhあたり約31円)と、常時稼働に向くミニPCの消費電力(15〜30W程度)で計算すると、月々の電気代はおよそ335円〜670円です。VPSの月額より安く済む計算になります。
さらに言うと、前回の設計(UWSC+Excel)も、そもそも常時起動しているPCを前提にしていました。つまりPCの電気代自体は、どちらの案を選んでも大差なく発生するコストです。そう考えると、コストの比較は「VPS代がかかるかどうか」ではなく、もっとシンプルに「スプレッドの広さ(楽天MT4CFDが継続的に不利)」対「Officeの購入費41,380円(前回の案が一度きり不利)」という話に整理できそうです。
今のところの結論
というわけで、MT4案は魅力的な部分もありつつ、以前挫折した記憶通りスプレッドの広さも裏付けられました。判断を保留にしている点は、まだ残っています。
- 楽天MT4CFDの日経225・TOPIXが、現物指数にどれだけ忠実か
- 楽天のVPSサービスの料金と、CFD口座での利用可否(PCの常時稼働で代替できるなら、優先度は下がりますが)
この2点は、楽天証券に直接問い合わせないと確定しません。
おわりに
一度は挫折して棚上げにした選択肢を、思い直して調べ直す。今回はそういう回り道でした。結果として、以前感じていた「スプレッドが広い」という印象は裏付けられましたが、当時は気づいていなかった長所(Excelが要らなくなる、実行がプログラムで完結する)も見えてきました。
一度諦めたことでも、状況や自分の知識が変わっていれば、見え方も変わる。そのことを思い出させてくれた寄り道でした。次に気になることが出てきても、まずは楽天証券への問い合わせを済ませてから動く。そのくらいの区切りは、自分の中で持っておこうと思います。

