「勝てる手法」は永遠じゃない――19年分のデータが教えてくれたこと
10年かけて研究し、5年かけて発信を続けてきた手法が、ある時期を境に急に勝てなくなったら、あなたはどうするでしょうか。
私は日経平均-NYダウ手法とTOPIX-S&P500手法という2つの株価指数CFD手法を、ブログで月次報告しながら実践しています。
どちらも自分でバックテストを重ねて見つけた手法で、長期的には確かな優位性があると信じてやってきました。
ところが今回、過去のデータをまとめて洗い直してみたところ、直近数年で明らかに成績が落ちているという、正直あまり気持ちの良くない事実が浮かび上がってきました。
今日はその検証結果を、良い話も悪い話もそのまま共有したいと思います。
検証している2つの手法
簡単におさらいしておきます。
日経平均-NYダウ手法は、日経平均の日足が陽線ならその日のNYダウCFDを買い、陰線なら売る、というシンプルなデイトレード手法です。
TOPIX-S&P500手法は、同じロジックを日経平均の代わりにTOPIX、NYダウの代わりにS&P500に置き換えたものです。
どちらも「日経平均が上がった日はNYダウも上がる」という通説を検証しようとしたのが出発点で、通説通りの向きでは成果が出ず、売買を入れ替えてみたら理論上利益が出ることが分かった、という経緯で生まれた手法です。
19年分のバックテストが示す「長期的には勝てている」という事実
まず結論から言うと、長期で見れば両手法ともプラスの実績を積み上げてきています。

日経平均-NYダウ手法は2007年1月から2026年8月までの約19年半で、総トレード数4,634回、総利益は67,274.97pt、勝率53.09%、プロフィットファクター1.227でした。
TOPIX-S&P500手法は2006年1月から同じく2026年8月までで、総トレード数4,877回、総利益6,832.38pt、勝率53.17%、プロフィットファクター1.179です。
累積損益カーブを見ると、どちらの手法も右肩上がりで資産を積み上げてきたことが一目で分かります。

勝率は53%前後とお世辞にも高くはありませんが、それでも19年という長期スパンで見れば、明確な優位性があったと言っていいはずです。
転機は2023年――直近4年で何が変わったか
ただし、この右肩上がりのカーブをよく見ると、2023年あたりから明らかに角度が変わっています。
年別の損益を分けて集計してみると、その変化がはっきり数字に出ました。
日経平均-NYダウ手法は、2022年までの長期平均が年間4,100.2ptだったのに対し、2023年から2026年8月までの直近期間は年平均417.7ptにまで落ち込んでいます。
長期平均のおよそ1割です。
TOPIX-S&P500手法に至っては、長期平均が年間483.4ptだったところ、直近期間は年平均マイナス346.4ptとなり、プラスからマイナスへ転換してしまいました。
2023年と2025年は両手法が揃って年間マイナスを記録しており、これは個別手法の偶然のノイズというより、市場環境そのものの変化を疑うべき数字だと思っています。

正直なところ、この数字を並べて見るまでは、ここまではっきりした失速だとは認識していませんでした。
月次の報告だけを追っていると、良い月と悪い月が交互に来るのが当たり前に見えてしまい、傾向としての縮小には気づきにくいものです。
ドローダウンが静かに拡大していた
もう一つ気になったのが、ドローダウンの変化です。
2007年から2019年頃までは、ドローダウンは比較的浅く、すぐに水面上に戻ってくるような値動きでした。
ところが2020年以降、ドローダウンの深さと頻度が明確に増えており、日経平均-NYダウ手法では過去最大となる-8,468.10pt、TOPIX-S&P500手法でも-1,844.92ptという最大ドローダウンを、いずれも2020年以降に記録しています。
しかもこの傾向は一時的なものではなく、直近の2023年から2025年にかけても続いています。

年間損益の縮小とドローダウンの拡大は、ちょうど同じ時期に重なって起きていました。
これは偶然ではなく、両方とも同じ根っこ――おそらく相場のボラティリティやトレンド転換の頻度が変わったこと――から来ている変化なのだろうと考えています。
勝率はそこまで崩れていないのに、なぜ苦しいのか
では勝率そのものはどうだったのか。
年別に見ると、両手法とも46%から64%の範囲で変動しており、2023年は両手法とも46〜48%台まで落ち込んでいます。
これが年間パフォーマンス悪化の一因であるのは間違いありません。
ただ、勝率が壊滅的に崩れているわけではなく、あくまで「もともと五分五分に近いところから、さらに数ポイント下がった」という程度の変化です。

小さな勝率の低下でも、積み重なると年間損益には大きく効いてくる。
これが今回の分析であらためて実感したことです。
季節性を見る限り、ロジック自体が壊れたわけではなさそう
一つ安心材料もありました。
月別に平均利益を見てみると、特定の月に極端な弱さが集中しているわけではなかったのです。
日経平均-NYダウ手法は8月・1月・3月・12月あたりが平均利益の高い月で、4月・9月・11月がやや低調ですが、いずれもマイナスにはなっていません。
TOPIX-S&P500手法に至っては、2月を除く11か月すべてが全期間平均でプラスでした。

つまり、この手法の根本的な前提そのものが崩壊したというより、相場全体のボラティリティが変化したことで、勝率とドローダウンの両方にじわじわと影響が出ている、というのが今の私の見立てです。
今、実践ではどうしているか
こういう数字を見てしまった以上、これまで通りのサイズでトレードを続ける気にはなれませんでした。
そこで、実際のトレードは現在、最低取引単位の0.1枚まで落として運用しています。
バックテストのデータ上は理論値と実践を比較するために単位を揃えていますが、実弾のポジションはあくまで最小限にとどめ、様子を見ている段階です。
勝てなくなってきたと分かっていながら通常サイズで回し続けるのは、単なる意地でしかありません。
サイズを絞ってでも継続し、次にどう向き合うかを考える時間を確保する、というのが今の私の判断です。
まとめ――勝てる手法にも旬がある
19年分のデータを振り返って一番強く感じたのは、長期で優位性が確認できた手法であっても、その優位性がずっと同じ強さで続くとは限らない、ということです。
バックテストで「勝てる」と分かった手法を見つけたら、それで終わりではありません。
市場環境は変わり続けるので、定期的に検証し、成績が落ちてきたらポジションサイズや運用そのものを見直す。
地味な話ですが、これに尽きるのだと思います。
今後は、この理論値のバックテストと実際の約定結果を突き合わせて、スリッページや手数料がどれだけ影響しているのかも確認していきたいと考えています。
また、以前使っていた自動売買の仕組みが壊れてしまったこともあり、今の相場環境に合わせた形での自動化の再構築も、あらためて検討していきたいところです。

